東大、民間試験求めず
こんにちは、個別進学塾教匠の吉野です。
報道によれば、東京大学が、平成32年度からの大学入試で導入される英語の民間試験について、その点数の提出を必須としないことを決めたとのことです。東京大学が民間試験との向き合い方を発表したことで他の大学も同様の決定を下す可能性もあります。
ややこしい話です。本当にややこしい話です。そこで、4つに話を分けて、今回の報道内容を解説します。
① 英語入試は2段階で変更予定
文科省の決定では、平成31年度で現在のセンター試験を終了、平成32年度から民間試験の利用を開始することとなっています。しかし移行措置として平成32年度からの4年間はセンターの新試験も並行して行うこととなっています。このため移行期間(平成32年から4年間)の国立大受験生は、センターの新試験と民間試験の両方を受験することを求められています。
② 移行期間の民間試験活用方法は?
移行期間の間、民間試験の受験結果はどう扱われるのでしょうか。国立大学協会は、民間試験の活用方法として、(1)一定水準以上の認定試験の結果を出願資格とする、(2)CEFR対照表に基づき、新テストの英語試験の得点に加点する、という指針を示しています。 つまり「英検ならば〇級以上を持っていないと〇〇大学は受けられない」、「TOEICで〇〇〇点持っていたら、〇〇点センターの結果にプラス」ということです。
③ 民間試験導入の問題点が噴出
今年3月には、民間試験の導入に向けて、8種類の民間試験が大学入学共通テストで受験可能な英語の民間試験として認定されました。しかし8種類の試験の認定に対しては、①そもそも試験ごとの目的が異なる、②受験機会の公平性が保たれない、③各試験の点数を照らし合わせるのが困難である、④出題ミス・問題漏洩のリスクがある、など多くの問題点が指摘されています。
④ 民間試験は本当に活用されるのか?
民間試験導入の問題点が多く指摘される中、東京大学もその活用方法をめぐって議論を大きく二転三転させてきました。そして今回、国大協の示した指針から距離をとり、民間試験の点数を提出しなくても東京大学を受験できる、という決定を発表しました。他の大学はどのような方針を示すのでしょうか。そして民間試験への完全移行など果たして可能なのでしょうか。
入試制度が大きく変更される平成32年度は、現高1生が受験する年です。それにもかかわらず、いまだどのような入試制度になるのか決まりきっていません。多くの識者が指摘しているように、あまりに拙速・無謀な変更ではないでしょうか?
■ 各資格・検定試験とCEFRとの対照表|文部科学省(pdf)
Yoshino
by kyosyo-hyogo
| 2018-09-26 10:00
| 大学受験情報