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隔年減少にご用心 ~大学入試セミナー補足情報③~

 こんにちは、個別進学塾教匠の吉野です。

 一昨日、昨日につづいて、11/8(日)に開催しました「大学入試セミナー」の補足情報をお伝えします。今回のテーマは「隔年減少にご用心」。セミナー当日は、近畿大学-文芸学部-文化・歴史学科を例に挙げて、隔年減少とは何かを解説させていただきました。

 「隔年減少」とは、1年おきに志願者数が増減し、その結果入試難易度も変動する現象のことです。志願者数が増えると、入試難易度(合格最低点)が上がります。翌年度の受験者は、その合格最低点を見て、その大学の受験を避けます。そしてその結果、志願者数が減り、入試難易度(合格最低点)が下がります。これが繰り返されるのが隔年減少です。

 「隔年減少」では、絶対にその大学に入りたいという受験者が少ない、つまり日和見層が多い、中堅私立大学において顕著にみられます。また近年は、現役志向・安定志向が強く、「入りたい大学」よりも「入れそうな大学」を受験校に選択する傾向が強くあります。このため、昨年度の合格最低点が低い大学が受験校として好まれ、逆に昨年度の合格最低点が高い大学が受験校として避けられています。「隔年減少」が露骨に起こっている状況なのです。

 2つの大学の事例をお話します。

 1つめは「神戸松蔭女子学院大学」です。「神戸松蔭女子学院大学」は、昨年度入試において、大きく志願者数を伸ばしました。その伸び率(昨年度比162.5%)は、関西圏の私立大学で首位でした。その結果、今年度の入試では、志願者数の大きな減少が起こっています。

 すでに実施が終わっている、今年度「神戸松蔭女子学院大学」の「学校推薦型選抜」の「A日程」、「B日程」の志願者数を見てみると、それぞれ、286名と228名。昨年度は、それぞれ、411名、458名でしたから、昨年度比で69.6%、49.8%と、大幅な減少を起こしていることになります。

 昨年度、志願者数を増やしたために、今年度敬遠されている事例です。

 2つめは「近畿大学」です。「近畿大学」は、その広報戦略や学校改革によって、大きく志願者数を伸ばし続けていましたが、2019年度入試で、志願者数が頭打ち。2020年度入試では、昨年度比94.0%と大きく志願者数を減らしました。(公募推薦入試を含む一般入試での志願者数)その結果、特に公募推薦入試・一般入試A日程において、合格最低点が2019年度入試よりも大きく低下しました。

 ということは、今年度何が起こるでしょうか?

 「近畿大学」のスゴいところが、志願者数を伸ばしやすい現況を利用して、さらに志願者数を伸ばそうとしているところです。下の表は、「近畿大学」の「入試ガイド」に掲載されている「総志願者数5カ年推移」です。「大幅減」という言葉がここには記載されています。通常であれば、志願者数が増えていることをアピールする大学はあっても、志願者数が減っていることをアピールする大学はありません。

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(「近畿大学 入試ガイド 2021」より)

 近大が人気になってきているという絶対的な自信がなければ、このような表記はできません。またこの表記は、先ほど述べたように志願者数を伸ばしやすい状況をさらに利用しようという動きであると同時に、「近大が難しくなっている」という評判に基づいて、近大受験を避けようとする安定志向の受検者層を拾おうという動きであるともいえるかもしれません。

 このような「隔年減少」が起こる理由の一つには、多くの大学が「入試ガイド」に昨年度分しか倍率・志願者数を掲載していないという事実があるかと思います。受験者側は、昨年度のデータだけを見ることができず(※WEBサイトには複数年度分掲載している大学も多くあります)、そのデータに基づいて「入れそうな大学」を選択します。

 ただ、「隔年減少」が起きているということは、昨年度の合格最低点はあてにならないわけですから、一昨年度の合格最低点にも目を向けなければなりません。でなければ、「昨年度の合格最低点よりも高い点数をとったはずなのに受からなかった」ということが起きてしまいます。「入れそうな大学」が実際には「入れない大学」だったということになるのです。

 中堅私立大学を受験する高校生に求められるのは、昨年度だけではなく、それよりも古いデータも活用して、滑り止めの受験校を選定する、入試での目標点数を設定する、という行動です。

 当塾では、主要私立大学に関して、過去7年分の「入試ガイド」を保管しています。また、関西圏全私立大学の志願者数推移の分析データを保持しています。塾生のみなさんは、受験校の選定の際、ぜひこういった情報を活用してください。(もちろん大前提として、「入りたい大学」に向けて、計画的・効率的に学習を進めていきましょうね。)

 Yoshino

by kyosyo-hyogo | 2020-11-20 10:00 | 大学受験情報